金魚玉の壊しかた
「操り屋の裏家業は……?」

「遊水として、実際に行っている。盗賊時代の昔取った杵柄でな、情報や人を操るのは得意なんだ。
城下の裏と表の情報を掌握して操る裏家業は、城代の仕事にも有益なのでね」


私はようやく、彼のインテリジェンスが真に何に根差したものであるのかを知った。

盗賊時代の産物と言うよりは──もともとこの男が、状況を読み、人の心を見抜いて人を動かすことに長けた才能を持っていたということなのではないか。

それを犯罪に使うか、執政のために使うかの違いはあっても、必要とされている才能は同じものに思える。


つまり──知略・策略。

それこそが彼の能力を最大に発揮できるフィールドなのだろう。


彷徨った私の視線は、部屋に置かれた器の中の赤い魚で止まった。


「金魚の盆栽は……あなたが行っているのか?」

「そうだ」

「それは……趣味で?」

「まさか」


ふふっと青文は小さく吹き出して、私の頬を一瞬だけ指を滑らせるようにして撫でて、
器の中を泳ぐ優美な魚のそばにしゃがみ込んだ。
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