金魚玉の壊しかた
「まさか──家人にまで、異人の血を引いていることを隠しているのか?」
「無論だ」
「どうして……」
「私は、盗賊時代に緋鮒の仙太と呼ばれ、紅毛の血を引く混血の者として裏の世界に名が知れてしまっている。
この容姿のことが噂になれば、過去に盗賊だったと知られる可能性が高い。
人の噂など、どこから漏れるか知れないのでな。念のためだ」
私は彼の用心深さにあきれを通り越して感心してしまい、
同時に、
屋敷の外でも内でもこのように他人を欺くために気を張りつめて、それでは彼には心が安まる場所もないのではないかと思って──
そんな彼が痛ましくて、胸を締めつけられるようで、
先を行く彼の袖に手を伸ばそうとして
足がもつれてよろめいた。
「大丈夫か」
青文が咄嗟に支えてくれて、彼の腕の中に抱き留められていた。
「夜だからな、足下に気をつけろ」
動悸が早鐘のように激しく胸を打っている私の手をとって、
彼は私の手を引いて再び歩き始めた。
彼の手を強く握り返しながら、
私はこの人のそばにいたいと、この時ただそれだけを思っていた。
「無論だ」
「どうして……」
「私は、盗賊時代に緋鮒の仙太と呼ばれ、紅毛の血を引く混血の者として裏の世界に名が知れてしまっている。
この容姿のことが噂になれば、過去に盗賊だったと知られる可能性が高い。
人の噂など、どこから漏れるか知れないのでな。念のためだ」
私は彼の用心深さにあきれを通り越して感心してしまい、
同時に、
屋敷の外でも内でもこのように他人を欺くために気を張りつめて、それでは彼には心が安まる場所もないのではないかと思って──
そんな彼が痛ましくて、胸を締めつけられるようで、
先を行く彼の袖に手を伸ばそうとして
足がもつれてよろめいた。
「大丈夫か」
青文が咄嗟に支えてくれて、彼の腕の中に抱き留められていた。
「夜だからな、足下に気をつけろ」
動悸が早鐘のように激しく胸を打っている私の手をとって、
彼は私の手を引いて再び歩き始めた。
彼の手を強く握り返しながら、
私はこの人のそばにいたいと、この時ただそれだけを思っていた。