金魚玉の壊しかた
「こんな場所に三年間も閉じこめて、
父と、三人の兄たちは──私の顔には決して傷をつけないように気をつけながら、幼い私を玩具にしてくれたよ」


私は一言も発することができず、
凄惨な過去を吐き捨てるように口にする彼を見つめた。


「元々、紅毛人だった母の風貌を気に入って私を産ませたような父だ。
そうでなくとも──連中には、異人の血を引いた幼い子供の容姿というのは、珍しいものだったのだろうな」


白色人種の子供の可愛らしさというのは──しばしば西欧社会において児童虐待が頻発する原因とも言われているが、

諸君らの時代にこそ、虐待は社会問題の一つとして光を当てられ、取り上げられているのであって、我々の時代、犯罪捜査の手も及ばない閉ざされた武家の中にあっては、例え子供に対するこのような虐待があったとしても明るみに出ることはない。


「私はおそらく人生における最も多感な時期を、この場所でただただ彼らに対する憎しみを募らせて過ごした。

このような目に遭わせた者どもを絶対に許すものか、必ず復讐して、残らず地獄に突き落としてやると誓いながらな」


私の頬を、涙が滑り落ちた。

かつて遊水の中に私が感じた──敵対者を絶対に許さないという彼の人間性は──


彼のこんな悲しい過去によって作られたものだった。


「泣いてくれるのか」


涙がとめどもなく流れ続ける私の頬を彼の手がそっと拭って、亜鳥は優しいなと暗闇に囁きが響いた。
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