オフィスレディの裏の顔
「上野さん、私この封筒は頂けません。」

このままお小遣いだけ頂いて帰るのはすごく罪悪感だった。豪華なディナーをご馳走になっただけでも十分だと自分に言い聞かせた。

「それは困ります。梨香さんの貴重な時間を頂いたわけですから。それにこれはルールですから遠慮しないでください。」

そんな風に言われると益々自分が嫌に思えた。私は封筒を差し戻した。

「梨香さんは優しいんですね。」

上野さんは会計をしてくると言って封筒を持って席をたった。私も帰る準備をして出入り口で上野さんを待っていた。

「お待たせ。では行きましょうか。」

「ご馳走さまでした。」

「梨香さん、しつこいようですがこれは私の気持ちなので受けとって下さい。」

上野さんは強引に封筒を私の手に握らせた。

「上野さん、ありがとう。」

上野さんはニコッと笑って通りへ出てタクシーを拾ってくれた。だけど時間はまだ20時、私は用事は銀座なのでとお断りした。結局そのタクシーには上野さんが乗って帰られた。

 急にさみしくなった私は、昼間マリコとした約束を思い出し、会社に電話をしてみた。彼女はまだ残業をしていた。私は会社へ戻って彼女とお茶をして帰ることにした。
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