オフィスレディの裏の顔
不倫の女王
 会社に歩いて戻る途中、封筒のことを思い出した。開けて見ると諭吉が3人いた。たった1時間ちょっと食事を一緒にしただけでこんなにお小遣いをもらえるなんて・・・。デートクラブを出入りするような彼らにとっては、はした金なのだろうか?たぶん、私はたまたま運がよくて、自分の体を傷つけずにたくさんのお小遣いを貰えているんだろう。だけど、その分心が傷ついた。こんなに簡単に手に入ってしまうお金。世の中にはお金に苦しんでいる人もいるのに、一方では使い方に困っている人もいる。こんな世界、知らないほうが幸せだったんじゃないかと、色んなことを考えながら歩いていたらマリコから電話があった。

「もしもし?美鈴ちゃん?」

「お疲れさま〜。残業終わった?」

「終わったよ〜。今どこ?」

「会社の下まできたけど・・・交差点のエクセルシオールでお茶しよっか?」

「わかった。じゃぁ先行ってて。すぐ行くね。」

「りょ〜か〜い。」

私は先にカフェに入ってマリコが来るのを待っていた。5分くらいたってマリコがカフェに入ってきた。

「待たせてごめんね。」

「ううん、気にしないで。」

「ちょっと飲み物買ってくるね。」

マリコは今時珍しい黒髪ストレートで、お姉さん風のシャツやジャケットにタイトスカートでいつもきっちりした服装の子だ。年下だけど、見た目は私より年上に見える。服装も思想も私とは全く逆のタイプだ。その2人がお茶をしているのだから、会社の人が見たらびっくりするだろう。

「美鈴ちゃん、タバコ吸ってもいい?」

そう言いながらマリコは買ったコーヒーと灰皿を手に持って戻ってきて座った。
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