オフィスレディの裏の顔
マリコは、座ってすぐタバコに火をつけると、気持ちを落ち着かせている感じだった。私は彼女が話出すまで待っていた。


「美鈴ちゃんに相談って言うのは・・・たぶん気づいてると思うんだけど、会社に気になる人がいるの。」

「えっ！？」

「気づいてなかった？」

私の驚きは、気づいてなかったことにではなく、恋愛相談を私にしてくることが予想外だったからだ。

「最近残業すると、帰りに会社に残ってるメンバーでよく飲みに行くじゃない？それで・・・」

彼女の話はこうだった。飲みに行くと２軒目、３軒目とはしごをして必ず終電がなくなり、夜明け前にタクシーで帰る。そのとき帰りの方向が一緒でタクシーに乗り合わせする鶴見さんがすごく優しくて気になると言うのだ。私は彼女が鶴見さんに気があるのは何となく気づいていた。というのも、終電で帰ればいいのに、毎回引き止められると嬉しそうに残るからだ。

「鶴見さんてぽっちゃりだしカッコよくないし・・・でもくやしいけど気になるの。」

彼女の言い訳に思わず笑ってしまった。

「優しいから？」

「うん。彼の家のほうが近いから先に降りるはずなのに、いつも私を先に送ってくれるの。」

「普通だと思うけど・・・」

「そうなの？」

私の考え方がすれてるのだろうか？私には送ってもらうなんて当たり前のことで、マリコがこれまでの人生でそうされたことがないことにびっくりした。

「まぁ、会社の人を好きになっちゃいけないとか、そんなルールはないしいいんじゃないかな。協力してあげるよ。」

「それがね、美鈴ちゃん・・・彼奥さんいるの。」

「え〜っ！！」
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