オフィスレディの裏の顔
オークラへは紀香さんから声をかけた。

「あのー、オークラさんですか?」

「は、はい。どこかでお逢いしましたか?」

オークラは全く私を見ていなかった。たぶん気づいていない。

「この子、美鈴、覚えてないですか?」

オークラは私と目を合わせるが、思い出してる様子はなかった。なのに、

「あ〜覚えてるよ。美鈴だろ?元気か?」

「は、はい・・・」

「なんだ、君たちはこれからどこか遊びに行くのか?」

「はい、美鈴と買い物しようと思って。オークラさん、お暇なら付き合って頂けます?」

私は紀香さんの発言にびっくりして、彼女に耳うちした。

「一緒に買い物なんてやめましょうよ。」

「大丈夫、私にまかせて。」

そう言って紀香さんはオークラに再び話かけた。

「どなたかと待ち合わせされてるんですか?」

「ああ」

「じゃその間、近くでお茶しませんか?」

美人に誘われて気をよくしたオークラは、とりあえず待ち人が来るまでとアルタ横の喫茶店に入った。

「好きなもの頼みなさい。」

オークラの視線は紀香さんにあった。

「美鈴何頼む〜?」

紀香さんはなぜかキャピキャピしていた。
「君たちはどういう関係なんだ?」

紀香さんが説明をする一方で私はずっと黙ってオークラを観察していた。そしてあることに気づいた。オークラが携帯を持っていることに・・・以前はもってなかったのに!その携帯が突然鳴った。待ち人からのようで、オークラは彼に居場所を説明していた。
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