鏡の中のアタシ。
「雄也は、アタシにたくさんの事を教えてくれたんだ。雄也と出会えてなかったら、人を好きになる事を知らないままだったかもしれない」
美緒は、黙って里菜の話を聞いていた。
「本当は、別れたくなかったなぁ…」
里菜は、そう言いながら空を仰いだ。
今日の空は、澄み渡った綺麗な色をしている。
「別れた事、後悔してる?」
ずっと黙っていた美緒が、里菜と同じように空を見上げながらきいた。
里菜は、すぐには答えなかった。
空を見上げながら、目を閉じて、あの日の情景を思い出していた。