鏡の中のアタシ。
「実は、里菜チャンの噂知ってるんだ…」
やっと本題を話しだしたであろう大地に、里菜は少しホッとしながらも、大地の話に耳を傾けた。
噂を大地が知ってる事を、里菜は雄也から聞いていたため驚かなかった。
里菜はそのまま、話の続きを待つ。
里菜の隣に座っている美緒は、テーブルの下で里菜の手を握っていた。
このよくわかんない状況の中で、美緒の手、優しさに、里菜はすごく心強かった。
「雄也に噂を教えたのは、俺らなんだ。しかも、里菜チャンと付き合うのを反対しまくったんだ。」
「うん、当然だよ。アタシも逆の立場だったらたぶんそうしてる。」
里菜は大地の気持ちを、わかってた。
だから、身を退いたくらいだから。
「だから、謝らないで?」
里菜は笑顔で話し掛けたが、大地は浮かない顔のままだった。