鏡の中のアタシ。

明日香は、しゅんとした顔で元の席に戻ろうとした。
が、その様子を横目で見ていた大地が半分呆れながらだが、椅子を自分の横に用意したので、大人しくそこに座りなおした。


「…里菜チャンが、気付いてる通り、偶然2人が話しているのを聞いちゃったんだ。」

「うん。」

もう話の腰を折りたくなかった里菜は、相づちをうち、そのまま大人しく続きを待った。

「本気だった事や、雄也や俺らの事まで考えて、雄也と別れた事なんか気付きもせず、自分勝手な女だったって思ってたんだ。」

「うん」

里菜は、そう思われていた方が、お互いに確執が残らないと思っていたから、それでよかった。

綺麗にサヨナラなんて、恋愛上級者にしかできない技だと思う。

「勝手だとは思うけど、里菜チャンに、ちゃんと謝りたかったんだ。」

大地は、そこまで話し、本当に申し訳ないといった顔をしていた。



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