鏡の中のアタシ。
「里菜をこれ以上傷つけないで…。」
美緒は、そうつぶやくと、さっきまでの勢いとは、違いトーンダウンして、真剣に話しだした。
「里菜が、真剣だった事がわかってもらえた事に関しては、里菜だって、アタシだってうれしいよ。」
ね♪と美緒は、なるべく明るい声で里菜に話しかけ、里菜もうなずいた。
「謝ってスッキリしたいだけじゃん…。」
「何の為に別れたか、知った上で、そのわだかまりを解いておきながら、でも今彼女います。なんて、どんだけ残酷な話をしにきてるかわかってる…?」
美緒は、話を終えると大地達を恨めしげに睨み付けたが、その時のキツく結んだ唇は少し震えていた…。
里菜の気持ちが、痛いほど伝わっていたから。
雄也の幸せを願っていた里菜。
本当は隣にいたかった。
仲間に祝福される恋愛をして欲しい。
笑っていて欲しい。
里菜は、今でもずっと祈っていた。
今さら里菜を受け入れたところで、里菜がいたかったあの場所にはすでに、他の子がいる…。
そんなのってないよ…。
悔しくて、切なくて、美緒は、里菜の肩を抱いてその場を後にした。