鏡の中のアタシ。


「里菜をこれ以上傷つけないで…。」

美緒は、そうつぶやくと、さっきまでの勢いとは、違いトーンダウンして、真剣に話しだした。


「里菜が、真剣だった事がわかってもらえた事に関しては、里菜だって、アタシだってうれしいよ。」

ね♪と美緒は、なるべく明るい声で里菜に話しかけ、里菜もうなずいた。

「謝ってスッキリしたいだけじゃん…。」

「何の為に別れたか、知った上で、そのわだかまりを解いておきながら、でも今彼女います。なんて、どんだけ残酷な話をしにきてるかわかってる…?」


美緒は、話を終えると大地達を恨めしげに睨み付けたが、その時のキツく結んだ唇は少し震えていた…。

里菜の気持ちが、痛いほど伝わっていたから。

雄也の幸せを願っていた里菜。

本当は隣にいたかった。

仲間に祝福される恋愛をして欲しい。
笑っていて欲しい。
里菜は、今でもずっと祈っていた。

今さら里菜を受け入れたところで、里菜がいたかったあの場所にはすでに、他の子がいる…。


そんなのってないよ…。
悔しくて、切なくて、美緒は、里菜の肩を抱いてその場を後にした。



< 159 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop