鏡の中のアタシ。
―――――……。
「はぁ…」
雄也は、深いため息をつく。
「相当時間が掛かりそうだな…」
大地も、そんな雄也を慰める言葉がみつからない。
雄也のため息の原因は里菜。
里菜に会いに行くと決めたあの日から、もう二週間はたっている。
しかし雄也は、里菜と話せないままでいた。
家に行っても開けてもらえず、道で会えても逃げられる。
とにかく避けられていた。
明日香が原因だなんて夢にも思わない雄也は、ただ落ち込むしかなかった。
そんな様子を、明日香は遠くから見ていた。
気味の悪い笑顔で…。
そんなそれぞれの思いが交錯する中、もうすぐ夏を迎えようと段々緑が増えてきた桜の木だけが、真実を見ていた…。
眩しく輝く桜は、静かな影を作るだけ。
いっそ真実をうつしだしてくれたら…。
願わずにはいられない、そんな昼下がりだった。