鏡の中のアタシ。
「台所借りちゃおっか」
里菜が提案し、お湯を沸かした。
もう季節は夏だが、まだ明け方は肌寒い。
それに、寝起きだ。
ホットコーヒーであったまる事にした。
里菜がコーヒーを入れるその間に美緒が、そのまま寝てしまったせいで、散らかったテーブルの上を軽く片付けた。
里菜がコーヒーを淹れてテーブルへ戻ると、美緒は、大地から借りた(奪った?)スウェットをキレイにたたみ、髪を梳かしていた。
そんな仕草が妙に色っぽくて、里菜は《大地め−、見る目あるなぁ》なんて思った。
「ん?あ、ありがと」
思わずボーッとしてしまった里菜をみつけると、美緒がお盆を受け取った。