鏡の中のアタシ。
美緒は里菜の返事に一瞬呆れかけたが、よく考えればちゃんと気持ちがある恋愛が初めてみたいな里菜がわからなくても無理はない。
ため息さえついたものの、まっすぐ里菜の正面に座りなおして、諭すように語りだした。
「悟が雄也に話しちゃったのは、しょうがないでしょ?アンタが悪い。どう?」
「うん…。」
「ね!じゃぁ次。雄也の事好きだって思えたんでしょ?」
「うん…好き…。」
まるで尋問だと思いながら美緒は続けた。
「…別れたくない?」
「…っ、嫌!」
うなずきながら、かぼそい声で返事していた里菜もこの質問にだけは強く反応した。
「ん。だね。じゃぁどうすればぃい?」
「………わかんない。」
美緒は本音では、そのままの本物の今までの里菜の姿で、雄也に会って話をして欲しかった。
雄也の気持ちまでは、わからなくて、もしかしたらそれで終わりにさせてしまうかと思うと、言いだせなかった。
でも里菜本人にその選択をしてほしかった。
もし言い訳して、悟のことを、うまく誤魔化せたとしても、それで続けていく恋愛なんて本物じゃないから。
そんな恋愛してほしくなかった。