鏡の中のアタシ。

「悟のこと、雄也をうまく誤魔化せる？」


「……」

「そうしたい？」

「……」


だんだん、美緒は諭すより誘導しているような話の流れになってきたが、里菜は美緒を不審がったりしなかった。

里菜も、何が一番いいのかは気付き始めていた。

美緒と同じように、雄也の気持ちが恐かった。



“清純派なんかじゃないってわかっても好きだと言ってくれるかな…。”


２人の間に直接な言葉はなかったが、以心伝心とゆうか、完全に伝わっていた。

「美緒…自信ない。」


脈絡のない里菜の言葉にも、同じ事を不安に思っている事がお互い伝わっている今、わからないわけなかった。


「はっきりいって、大丈夫だよ！なんて言葉はかけられない。」


「けど、必ず今回の事は里菜自身にプラスになると思う。」


「だから、無責任かもしれないけど…」


「頑張ろう？」



美緒は、里菜の頭をなでながら顔を覗き込むようにして、一番伝えたかった事を話した。