問題アリ(オカルトファンタジー)



玄関先で倒れているリオンの師匠兼友人(リオンはどちらも認めていない)を部屋にも運ばず、地面に横たえたまま消えてしまうのを見送るなんて、非情以外の何者でもない。


リオンには力があるのだ。


魂を繋ぎとめることも、物に宿すことも、癒すことも、破壊することも。


今のフィンを換算しなければ死神の中で一番力がある。


力があって、その力に肖(あやか)るべき人間が、目の前にいるのに助けないのは、助けられるのに助けないのは。



「残酷だと思うか?」



「……思うよ…」



「…違うよ、フィン君…。死ぬんじゃない…生まれ変わるんだ、俺…」



弱々しい声をかけるフィンに駆け寄ったチェスは隣に座り込んで、泣きそうな顔でフィンを見ている。


その顔に力なく笑いかけながら、フィンの手が慰めるようにチェスの頭を撫でる。


その隣にリオンが膝を付く。



「死神にも存在できる期限はある。死神がまた人間の輪廻転生に戻るのに必要なのは、人間性だ。フィンはそれを漸く手にすることが出来たんだ。人間であった頃に失った人間性をな。そうしてまた、輪廻転生の輪の中に戻る。……それを引き止める気か?チェス。人間の形をしながら人間ではなかった俺たちが、漸く本当の人間に戻れるというのに」



「……お前の言い方、いっつも冷たいんだっつってんだろーが…舌まで凍ってんじゃねぇのか…」



「お前はいちいちうるさいんだ。舌が二枚あるんじゃないのか蛇男」



「俺の何処に鱗があるってんだよ……バカじゃねぇの、頭使えよ600年は生きてんだろーが」



「千年以上生きてるくせにここまで低レベルなお前に言われたくはない。転生したらこの世に存在する教材全て丸暗記しておけ」



「ホント可愛げのねぇガキだな…その仏頂面どうにかしたほうがいいぜ」



「お前の心配など不要だ」




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