ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「もうっ! なんでこうなっちゃうのよ」

なんて性急な男だろうか。私も仕方なく後へ続いた。結局は戦う羽目になってしまった。

「風刃鋭鎌(ヴィン・シャル・クリン)」

アレックスが敵を引きつけている間に、私は術を放った。

開いた壁の向こう側は天井が高く、かなり広めの空間になっていた。

上階へ続いている石階段が部屋の中央にぽつんとあるだけで他には何もなく、殺風景な印象である。

このくらいの広さなら、さっきの通路よりは戦いやすい。しかもここにいる敵は幸いにも、スケルトン・キラーだけだった。

私はスケルトン・キラーの弱点を知っていた。

父が他の術士と退治に行くというので、無理を言って一緒に同行させてもらったことがあったのだ。勿論、修行の一環としてである。私はそこから学んだことを思い出しながら、確実にスケルトン・キラーの脳天だけを狙って術を放った。

スケルトン・キラーの弱点は、頭蓋骨の中である。人間で言えば丁度、脳のある辺りだった。
< 127 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop