ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「あんたら、本当にこの先へ行くわけ?」

「無論だ。俺にはやるべき使命があるのだ」

「だからっ、その理由をちゃんと説明しなさいってのよ」

「それじゃぁ〜皆さん、行きますよ〜」

人の話を全く聞かず、そのまま勝手に階段を上ろうとしている二人を見た私は、とうとうブチ切れた。

「私はここで帰るから! もういい加減、付き合ってられないし」

くるりと二人に背を向ける。だが。

「待て、エリス」

その声に振り向けば、真剣な眼差しをしたアレックスの顔がすぐ近くにまで迫っていた。

「俺は君が欲しい」

真っ直ぐで濁りのない、碧色の綺麗な瞳に見詰められた私の鼓動が一瞬飛び跳ねる。
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