ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
あの魔物たちは私たちのことも、アレックスの仲間だと思っていたはずだ。それなら私たちに術をかけるのはおかしい。

何故ならアレックスには「魔物の術が効かない」からである。

それとも私たちのことをアレックスの仲間ではないと見抜き、術をかけたのだろうか。

なら何故、その場で殺さなかったのか。魔物である彼女にはあの能力以外で、私たちを生かす理由などないはずなのだ。

「エリスさん〜、さっきから何を〜一人で考え込んでいるのですか〜?」

しばらく無言で腕の紋様を見詰めている私が気になったのか、エドが話し掛けてきた。

「うん、ちょっとね……そういえばアレックスは? さっきから姿が見えないんだけど」

「アレックスさんなら〜一足先に討伐隊の皆さんの手によって〜病院へ連れて行かれましたよ〜。
僕の回復術で一時的に〜回復されていたようですけど〜打撲傷が酷くて身体のほうは〜結構ボロボロな状態だったみたいです〜」

ということは、かなり無理をして立ち上がっていたのか。その状態で更に戦いを挑もうとするとは、なんという執念なのだろう。

「君、ようやく目が覚めたようだね」

背後から声を掛けられたので振り向けば、全身金色の鎧で覆われた、40〜50歳代くらいのおじさんが立っていた。

騎士様の格好をしている。
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