ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
美形のほうの格好を改めて見ると、どうやら剣士のようだった。服の上から上半身を覆う鎧(アーマー)を着ていたので、一発で分かる。

しかし私の目から見れば、地味で黒光りしている使い古された感じの鎧が、その男にはあまり似合っていないように思われた。高級そうなシルバーの甲冑にマントを軽くなびかせ、白馬を自在に乗りこなしているような、そんな騎士様の服装がよく似合いそうだ。

もっともこれは、男の外見から私が勝手にイメージしているだけの話であるが。

「それより〜、あなたは何故こんなところに〜いるのですかぁ〜?」

また唄いながら吟遊詩人は、私に尋ねてくる。しかしこの男、唄いながらでないと喋れないのだろうか。
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