君の瞳に映る色
深く口づけられ棗は息苦しさを
感じた。
ようやく離れたかと思うと身体を
反転させられそのままベッドに
押し倒されてしまった。
棗は目を丸くして自分に
覆い被さる櫂斗を見る。
なんとかこの場をしのぐ理由を
考えた。

母に怒られます、顔を寄せてきた
櫂斗に言う。
櫂斗はなぜ?と聞きながら棗の
頬や耳にキスを降らせる。
その行為に棗は肌があわだった。

顔を背け櫂斗の身体を手で
押し戻す。
正式に発表をしてませんから、と
強い口調で言うと、櫂斗は冷たい
笑みを浮かべて棗を見下ろした。

「わかってないね、このことは
お母さんも了承済みだよ」

櫂斗の手が首で結ばれている
ドレスのリボンをほどく。

棗は目の前が真っ暗になるのを
感じた。
母に母としての何かを求めた
ことはないのに。
なぜこんな仕打ちを母から
受けるのだろう。

櫂斗がドレスのファスナーに
手を掛けた。

「やめて、やめてください!」

叶わないと分かっていても
叫ばずにはいられない。
棗は必死に手足をバタつかせる。

櫂斗は棗の肩を掴んでシーツに
押しつけた。
痛いくらいの力に棗は呻く。
そのまま乱暴にキスをされ
声にならない声を上げた。






< 109 / 352 >

この作品をシェア

pagetop