君の瞳に映る色
しかしすぐに笑みは戻る。
棗の手首を扉に
押しつけるようにして、
櫂斗は反対の手を棗の顎に当て
上を向かせた。
「やめて」
制するように自由な手で櫂斗の
身体を押したがびくともしない。
「どうやら知らなくていことまで
知ってるらしいな」
唇同士が触れそうで触れない
距離にある。
櫂斗の威圧感ある声よりも
玲が戻ってきたら、と
頭の中にはそればかりが過る。
動かすことのできる目の端で
階段の下に視線をやった。
「あの男ならいないよ」
棗の気持ちに気付いたのか
櫂斗が笑う。
「君の気配を隠すために
この家には結界がはってあった。
所詮は中途半端な力しかない男だ
…今日一人で家を出たろ?」
棗の瞳が驚愕で見開かれる。
櫂斗は言葉を続けた。
「ようやくみつけた。
迎えに来てあげたよ」