君の瞳に映る色


いつの間にか瞑っていた目を
開けると、
そこは薄暗い部屋だった。

シンプルなカーテンに、
不釣り合いな豪華なチェアセット
そこが学校の生徒会室だと
気付いて棗は玲を振り仰ぐ。

「お母様の前で
なんてことするのよ!」

「いいだろ、ちょっとくらい」

「ちょっと、ってどこが?」

「あ、いっそ俺が血を
吸っちゃえばいいんじゃん?」

「…それはダメよ!」

思わず語気を強めると
玲は少し目を丸くした。

「あの、だって、お母様には
ちゃんと認めてもらいたいもの」

しばらく黙っていた玲は
包み込むように棗を抱き締めた。

音を立てて耳に口づける。
そうされると背筋を甘い痺れが
走った。

ゆっくりと玲の唇は首筋を
這うように下りていく。

「玲?……ダメ…」

「可愛いこと言うから、
止まらなくなった」

クスクスと笑う玲の息が
首筋にかかる。

「…っ」

甘い声が漏れそうになる口を
玲に塞がれた。



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