君の瞳に映る色
「…この子、死んでないよね?」

眉を寄せて不安げに聞く棗を
玲は鼻で笑った。

「少し血をもらったくらいで
死ぬかよ」

玲は呆れたように言う。

「じゃぁ吸血鬼になるの?」

「ヴァンパイアだって。
それは特殊な方法で血を
吸ったらな、普通は害はないよ」

次々と質問してくる棗に
玲は苦笑いした。
それと同時に人間とこんな会話を
することがあるとは、と少し
不思議な気分になる。

「蚊みたいなものね」

「蚊って…マジで失礼な女だな」

真剣な顔をして言う棗に、
玲の笑顔が引きつる。
棗は気にせずに溜息を吐いた。

「この子たちが寝てたら、
わたしが眠れないじゃない」

「また気分悪いの?お嬢様」

「頭痛がするのよ、寝不足で…」

言いかけて棗はハッと顔を上げた。
目の前の玲の顔が意地悪く歪む。

「……へぇ、何で?」

薬を取りに行く振りをして
棗は顔を逸らす。

「勉強してたからよ」

戸棚を見ていると、
玲が顔を覗きこんでくる。






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