君の瞳に映る色
「お屋敷以外で
何かを食べたことがないわ」

棗が言うと、ホント、お嬢様だね
と笑う。

「じゃ~初身体験じゃん
飲んでみろよ、はちみつ入り
まぁ、インスタントだけど」

棗は恐る恐る口をつけた。
一口飲むと甘い味が
口の中いっぱいに広がる。

柊の入れる紅茶より何倍も
甘かったが、どことなく懐かしく
落ち着く味だった。

「おいしい」

棗は呟いた。
冷えた指先にカップの温もりが
ホッとする。
身体が温まった。

「そりゃよかった」

言いながら玲が棗の隣に
腰を下ろす。
棗は身構えた。

「いいだろ?この部屋」

足を組んで玲は
ソファーに身を沈める。
言われて棗は辺りを見回した。

よく見ると外の景色を遮っている
カーテンは教室にあるものと
同じようだし、薄暗い教室を
照らす蛍光灯も普通のもので
豪華なチェアセットとは
不釣合いだ。

「部室にしては、…豪華?」

「…生徒会は部活じゃねぇよ」

棗の言葉に玲は苦笑いする。




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