君の瞳に映る色
その色が脳裏に浮かぶたび
悲しい感情が
棗の心に満ちていく。

傍にいて離れていった者を
何人も棗は見てきた。
だから極力使用人も
少ない人数しか傍に置かない。

人にかかわるのはうんざりだ。

「…あなたのお友達ごっこには
付き合わないわよ」

瑠璃の笑顔がさっと曇る。
深緑の瞳から
ぽろぽろと雫がこぼれた。

「…なんで泣くのよ」

くるくると表情を変える瑠璃に
棗は完璧に戸惑っていた。

瑠璃は棗の手を握り締めたままで
涙を拭おうともしない。

「わたし真剣です。
心をよんでください!」

「…読めないわよ、心なんて」

瑠璃の勢いに押されるように
身を退きながら
思わず言った言葉に
棗はハッとした。

「読めないんですか?!」

今度は瑠璃が驚いた。



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