紅芳記
殿方が側室を置くのは仕方のなき事。
それは女子であれば皆が承知の事でございます。
左様、頭ではわかっていたとしても、心は追いつきませぬ。
辛く、嫉妬し、真っ黒で。
私とて女子の身、利世殿の申されたことなされたことすべて、わかってしまうのです。
「源次郎、そなたという者は…」
殿は源次郎殿に向けてため息をつかれます。
源次郎殿はバツが悪そうに口をつぐんでおいででした。
「まだ利世殿を娶ってから間もないであろうに。」
「いや、その…」
源次郎殿はいまいちはっきりとなさらず、お茶を濁すお振る舞いです。
利世殿はすっと立ち上がって、
「ようわかりました。
どうぞ、お方様とお幸せに!!
お、か、た、さ、ま、とっ!!!」