i want,
……………
「おっ、あおいちゃんじゃー」
放課後ヒカルの家に行くと、奥から聞きなれた声が聞こえた。ひょこっと覗く顔は、純君だ。
「純君、来ちょったん」
「おぅ。信吾らぁもおるで」
「カレー食べに来たんじゃろ」
あたしの後ろから続くヒカルが、ため息まじりに言った。「大正解ー!」と叫ぶのは、学君。
ヒカルの家は、謂わばたまり場だった。特に来るのは4組の男子。ヒカルの新しい友達だ。
たまにさと達も来ていた。
でも小学生の頃程、ヒカル達はつるんでいない様だった。
ヒカルは純君達のいる居間に向かう。あたしはヒカルの背中を見送り、台所へと足を踏み入れる。
居間から聞こえる笑い声は、低くあたしの中に響いた。
…「カレーできたよ」
カレーを作り終えたあたしは、ひょこっと居間を覗いた。カレーの匂いが満ちていた台所とは、違う匂いが充満している。
「おぅ」
「持ってくる?」
「俺手伝うわ」
よっとヒカルが立ち上がる。
その拍子に、指に挟んだ煙草を灰皿に入れて潰す。
煙が一筋消えた。
居間を出ていくヒカルに、あたしも急いで続く。
ヒカルがあたしの隣を通りすぎた時、もう香水の香りはしなかった。