i want,
……………
「皿が足りんわぁや」
食器棚を漁りながら、ヒカルがちっと小さく舌打ちする。
あたしはカレー鍋を混ぜながら、「何枚足りんの?」と訊く。
「一枚」
「じゃああたしいらんよ」
「ええんけ」
「うん。家帰って食べるし」
元々食べて帰る気がなかったから、丁度よかった。残ったカレーは冷凍しておけばいい。
「わりぃの。ただ作らせただけで」
「えぇよ」
気を使っているヒカルが可笑しくて、あたしは小さく笑ながら言った。
ヒカルがご飯をつぎ、あたしがカレーを入れる。
台所には、カチャカチャという食器の音だけが響いていた。
人数分つぎ終わったあたしは、コンロの火を止めて言った。
「残りのカレー、冷めたら冷凍しちょったらいいよ」
「おぅ」
「タッパーか何かに入れて…」
「あお」
「何?」、言おうとして、唇を塞がれた。
ヒカルが少し屈む形になる。また背が伸びたと思った。
目を閉じる暇も、なかった。
奥の部屋から、皆の笑い声が聞こえる。
それが一層、心臓の音を速める。
…ゆっくりとヒカルが離れた。
目が合って、思わず視線を反らす。