i want,
会話の内容にたまりかねたのか、さとはため息をついてゴロンと横になった。あたしはそれを横目で見ながら、綾と二人の時に訊くべきだったかと思った。
「んー、別に理由はないけど…そうやなぁ、好きって思った時とか、二人でいる時とか…近くにいきたいなぁて思った時とかかね」
「ねぇ神ちゃん」、寝転がったさとに同意を求めるが、腕をおでこに乗せたさとは「んー」と聞いているのかいないのかわからない生返事を返すだけ。
「もう」と口を尖らせながら、綾はあたしの方に向き直った。
「何、どうしたんよ」
「いや…別にどうしたってわけじゃないけど…」
当然の様な綾の答えは、あたしの不安を増長させる。
胸元まで伸びた髪をいじりながら、あたしは小さく言った。
「なんか…違くて」
「違う?」
「あたし、みんなと違う。ヒカルの近くに行けば行く程、なんか…遠いんよね」
階段の下を女子生徒が笑いながら通り過ぎて行った。綾の視線だけじゃなく、寝転がったさとの視線も感じる。
「ヒカルは…キスしても、遠い」