i want,

…いつも感じていた。

どんなに近くにいても、どんなにキスをしても、あたしとヒカルの距離は遠い気がした。

ヒカルがあの視線をあたしに向ける。それで満たされた気持ちになると共に、それ以上の欲が生まれる。

ヒカルがあたしだけのものだったらいいのに。
その瞳には、あたしだけが映ればいいのに。

そう思う気持ちは、キスをするだけじゃ満たされなかった。

益々ヒカルを、遠く感じるだけだった。


「…あおと垣は、昔からそんなじゃったわ」

仰向けになったまま、さとが言った。
綾が振り向いてさとの方を向く。あたしも視線を上げて、さとに向けた。

「お互いを求めちょるんじゃけど、何か遠い。距離とかじゃなくて、何か、よぉわからんけど」

「神ちゃん、何言いよるかわからんよ」、綾が言うが、さとは構わず続ける。

「…多分、求めすぎちょるんじゃと思うわ。お互いを求めすぎちょるけぇ、普通の人なら当然に思える距離が、果てしなく感じるんじゃ」

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