i want,
「まぁ、いざとなったら皆で垣枝君家に押し掛けちゃればいいんちゃ!ねっ!」

俯いたあたしの肩をバンッと叩き、綾が努めて明るく言った。

「大丈夫。綾達は絶対、あおの味方じゃけぇ」

顔を上げ、綾の方を向く。優しい笑顔がそこにある。
いつか真依に言われた言葉を思い出した。いつもあたしの側には、誰かがいてくれる。誰かが味方でいてくれる。

「…ありがとう」

とても幸せなことだと思う。
確かに、そう思うのに。

「じゃあ、綾こっちじゃけ。神ちゃん、あおちゃんと送っちゃげてね」

そう言って綾は、照れ隠しなのか大袈裟に手を振った。
送るもなにもさとの帰り道にあたしの家があるのだが、あの手紙が入るようになってから、綾は必ずこう言う様になった。多分、綾なりの気遣いなのだろう。

そんな綾にあたしも笑顔で手を振り返した。
あまり綾に、心配をかけたくなかった。

「…いい子やよね、綾」

綾の背中を見ながら小さく呟く。
隣のさとを見上げ、ニヤッと笑ってみせた。

「さとは幸せもんじゃねぇ」
「うっせーよ」

さとは鼻の頭をかいてみせ、ぶっきらぼうに歩き始める。
照れてるさとがおかしくて、あたしは苦笑しながら後を追いかけた。
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