i want,

「今お前が側におって欲しいんは、本当に俺らか?」

前を向いたまま言うさと。
心臓が、ドクンと音をたてるのがわかる。

本当に側にいて欲しい人。
考えただけで、泣きそうになるくらい会いたい人。

あたしが何も言えずにいると、さとが再び口を開いた。

「さっき綾実が言った通りじゃ。もし…もしお前が会いたいんじゃったら、死ぬほど会いたいんじゃったら、俺が連れて来ちゃる。家に押し掛けてでも、街中探してでも、お前の前に連れて来ちゃるけぇ」

力強い口調。でも言葉の端々に、優しさが溢れてる。

目の前のさとの背中が陰った。目頭が熱くなり、思わず下唇を噛む。


思えばさとは、ずっとあたしの近くにいてくれた。
喧嘩したり、騒いだり、笑ったり、そんなことをいつも一緒にしてくれていた。

些細なことかもしれない。でもそれが、時になにより大切なものになる。

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