i want,
あたしはさとの背中に、コツンと自分の頭を預けた。
広い背中。いつの間にこんなに成長したんだろう。
「…ありがと」
気恥ずかしくて、いつも憎まれ口ばかり叩いていた時もあった。でももう、そんなに子どもじゃない。
この人はあたしを見放さないと、何の疑いもなく信じれる人なんて、きっと簡単には見つからない。
あたしはもっと、そんな人を大切にしなきゃいけない。
さとが小さく「うん」と言った。顔は見えないけど、きっと笑ってると思った。
いつかさとが苦しい時は、あたしが支えになってあげる。
そう言いたかったが、やっぱり恥ずかしくて自分の胸に納めた。
会いたいと思う度、会えない真実に気付かされる。
だからあたしは、会いたいと思う気持ちにさえ蓋をしてきた。
そうする度に、心が悴んだ。
寒さは増す一方だった。
でも今は、もう寒さは感じない。
さとの背中が、温かかったから。
思ったよりずっと、温かかったから。