i want,
……………
二学期の終業式の日、初雪が降った。
風通しのいい体育館は凍える程に寒かったが、外の寒さに比べたら幾分かはましなものだった。
短いといっても冬休みは冬休み。ざわついた教室は、早くもその話題で持ちきりだ。
あたしは誰と話すわけでもなく、自分のペースで帰り支度を進める。
積もるかもしれないな。窓際の席で帰り支度をしながら、そんなことをぼんやり考えた。
そうして荷物を全部鞄に詰め終えた瞬間、視界の端に透明の傘が映った。
窓から見える校門。その影に見え隠れしているのは、見覚えのある制服。
思わず目を見開いた。
教室のドアがガラッと開き、「あーおっ」という綾の声が聞こえる。
でもあたしの神経は、その傘に奪われていた。
「あお、帰ろ…」
「ごめん、今日先帰るねっ!」
呼びに来た綾に急いで謝り、そのままの勢いで教室を飛び出した。
驚いた綾の声が、後にした教室に響いている。
あたしは何も考えずに、ただ校門を目指して走った。