i want,
下駄箱を通りすぎると、尖った寒さが肌を突き刺した。空を見上げると、灰色の雲から真っ白な雪が列を乱しながら落ちてきていた。
そんな雪から身を守るため、ビニール傘を勢いよく開く。
校門の近くに着いた時、軽く息がきれていた。自分でも驚く程、急いでここに来たことがわかる。
落ち着かせるために、ひとつ深い深呼吸をした。
目的はわからなかった。
ただ、衝動で動いていた。
ゆっくり彼の方に足を進める。
未だ気付かない彼の傘に、自分の傘をぽんっと当てる。
傘に積もった雪が、音もたてずに落ちた。
「…久しぶり、田口」
振り向いた田口にそう呟く。
あたしを見た田口は、変わらない笑顔で軽く傘を持ち上げた。