i want,
……………
「はい」
雪がやみ始めた空に、温かいココアの湯気が昇る。
あたしは田口の手から紙コップを受け取り、「ありがとう」と素直に返した。
天気のせいか、人のいない公園。ブランコの前の手すりに、二人並んで座った。
黙ったままココアを一口飲む。
甘い温かさが体の中心に染み渡り、なんだかとても落ち着いた。
「神野から聞いたよ」
同じようにココアを飲みながら、田口が言った。紙コップを口から離す。
「心当たりあるんだろ?神野も、矢槙も」
「俺もある」、そう言って再びココアを飲む田口に、あたしは視線を向けることはできなかった。
手にしたココアの表面が揺れる。同じようにあたしの心も、揺れる。
疑いたくないわけじゃなかった。
未だに過去が過去になっていない真実が、怖いだけだった。
「…まぁいいけど」
黙って俯くあたしを見て、田口は小さく呟いた。飲み干した紙コップをくしゃっと潰す。
「今日来たのは、その話じゃないから」
近くにあったゴミ箱にそれを投げ入れ、田口は言った。あたしは思わず顔を上げる。