i want,
自分で言うのも恥ずかしく、語尾を濁らせたあたしに、ヒカルは笑って「そりゃあの、」と言った。
「あいつのことは大概知っちょるわ」
「…ふぅん」
「ただ」
言葉をきる。
あたしは黙って、ヒカルの横顔を見つめる。
その視線だけをあたしに向け、ヒカルは言った。
「…譲るつもりは、なかったんじゃけど」
力強い視線。それはあたしを刺し、痛みを残す。
苦しくて目を伏せた。
痛みはまるで荒波の様に、あたしを襲って離さない。
痛みの理由は多分、ひとつじゃない。
…『けど』って、何?
続く言葉はきっとあるのに、ヒカルはそれを口にしない。
あたしもわかってて、口に出せない。
感じてるんだ、多分。
お互いにもう、どうしようもないんだってことを。