i want,
……………
「なぁ、おもしろいか?」
暗闇で見えないけど、隣の田口がつまらなそうに呟いた。
あの角を曲がれば、上からこんにゃくが落ちてくる。
「…こんにゃく、ひっかかるべきじゃろうか」
「知っててひっかかるバカがどこにいるの?」
「だって、お化け屋敷なのに全然びっくりせんって何か損しちょらん?」
あたし達のクラスは、お化け屋敷の内装の担当だった。
だから、どこに何があるとか、どこから何が出てくるとか、全て把握している。
ネタがわかってるものほど、面白くないものはない。
隣で田口が溜め息をついたのがわかった。
と同時に、腕を掴まれる。
お化け屋敷に入って、一番驚いた。
「なん!?」
「面白くないじゃん。こっち、」
田口が引っ張って行った先は、段ボールの隠しドア。
無遠慮にそれを押し開けると、中で待機していたお化けが思い切り驚いた。
まさか自分が驚かされるだなんて、お化け役の子も予想してなかっただろう。