i want,
「…起きんの?さと」
呟いて、膝をつく。
眠るさとに近くなり、胸の奥がつまる。
「さと…ねぇ、さと。…寝るなんて、早すぎだよ?ねぇ…ねぇ、」
何度呼んでも、返事はない。
起きない眠りがあるなんて、今まで考えたこともなかった。
そんなことが、あるなんて。
「…あお?」
すすり泣きでいっぱいの部屋の中から、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
呆然と柩を見つめていたあたしは、その声のする方に視線を向ける。
部屋の隅っこ。
ぺたんと座り込んだままの綾が、そこにはいた。
焦点の定まらない視線。
力の入らない体。
その瞬間、あたしは、夢から醒めた気がした。
「綾…」
さっきまでの足取りとは違う、しっかりした足取りで綾の方へ向かう。
その小さな手を握り、「綾」ともう一度呼び掛ける。
「神ちゃん…起きた?」
落とすように、呟いた。
胸の奥が締め付けられる。