ロ包 ロ孝
 ポリバケツが幾重にも重なって置かれているゴミ集積場が、第1の犯行現場だった。

「ここで襲われたガイシャは、この間迄昏睡状態だったんです。危うく殺人事件になる所でした」

 俺達は古内警部補の案内で各現場を見て回った。つい最近起こった女性の暴行事件は、公園の植え込みが一部へこんでいて妙に生々しかった。


∴◇∴◇∴◇∴


「ああ、お解りの通り、駅からこのビル迄を結ぶ往来から程近くの場所で被害が起こっています。見取り図にするとこうなります」

 俺達は所轄の警察署で小会議室を借り、ミーティングを行っている。北田がホワイトボードに貼った地図に赤い点で示された現場は、ゆうに30を超えていた。多い日には1日3件続いた日も有るという。

「ここからは私が説明致します。場所的な面から見て、賊は同一のグループだと推測されます。
 可能性としては、現在抗争中である暴力団組織の準構成員という事も考えられるでしょう。
 ガイシャからの情報や目撃証言から、賊は10代から20代の若者達だという線が濃厚です」

 古内警部補によると最近のチンピラは、昔のように一見してそれと解るような格好をしていないので判別が難しいのだそうだ。

「剃り込みを入れてパンチパーマを当てて、45のグラサンでもかけててくれると助かるのですが……」

 そう言えば、近頃はそういう若者がメッキリ減ってしまった。その時代を知っている俺達は古い人間にカテゴライズされてしまうのか?

「俺達の頃はツッパリと言えばそうでしたからね。なぁ栗原」

「え? 俺達なんかはチーマーの時代なんで、脱色長髪鎖ジャラジャラでしたよ?」

 栗原とは大して違わないつもりでいた俺は、期せずして感じたジェネレーションギャップに戸惑っていた。


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