ロ包 ロ孝
「おおっ? 噂の天使達(エンジェルス)のご登場か? しかも1番へっぴり腰のヤサ男だ。ハッ!」

 リーダーらしき男が鼻で笑って栗原に向き直り、サバイバルナイフで威嚇する。サラリーマン達はおずおずと身を寄せ合い、状況を見守っている。栗原は身体を低く構え、臨戦態勢に入った。

「そ、その人達を放すんらっ!」

 本人は大真面目なのだが、語尾がこれではどうもシマらない。

「どこの大人がお前みたいなお子ちゃまの言う事を聞くんだ?
 いや聞くんら? ハハッハハァァ」

 堪忍袋の緒が切れた栗原は、気合いを込めて賊に対峙した。

「畜生、ぶっ飛ばしてやる。んむむ……らぁぁっ!」

 栗原は吹き飛ばす裏法の【空陳】(クウチン)を放ったつもりだったが、何も起こらない。

「おいおい、そらなんの真似だ? ヤサ男さんよぉ。やっぱりあのポッチャリ姉ちゃんが居ないと何も出来ねぇか?」

 前に賊の仲間が里美から【空陳】を受けて飛ばされている。

「ほら助けを呼んでみろ。もっとも姉ちゃんが来る前に、お前の下ごしらえは済ませておくがな。天使は天使らしく、あの世に帰っておとなしくしてな!」

 男はジャグリングのようにナイフを左右の手に持ち替えながら、薄笑いを浮かべてにじり寄って来る。

「くっそぉ…………」

 その時、突然背後から鋭い声が発せられた。

「栗林さん達、伏せるんだねっ!」

 いきなりの事でキョロキョロ辺りを見回していた栗原達は、後ろから強い力で押さえ付けられ、次の瞬間屈まされていた。

「目をつぶるんだねっ!」

 戸惑いながらも声の通りに目を閉じたその時。

  ズバババッ!

 激しい光が目蓋を通して栗原達の視界を真っ赤に染めた。


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