ロ包 ロ孝
 すると賊共が喚き散らした。

「うわぁっ、目がっ!」

「何も見えねぇ!」

「うわっ、なんだ? 足が動かねぇぞ?」

「何すんだ! 倒れ掛かってくんな!」

「俺も倒れるぅう!」

  ドスンッ バタッ バタン!

 ようやく暗い場所に慣れて来た栗原達の目に、倒れたままジタバタしている賊共と『銀杏婆ちゃん』に手を引かれ、目をこすっては見開いている男性達の姿が浮かび上がって来た。

「舘野さん! 貴女は一体……」

「今見た事は、警察には内緒なんだね。こんな物持ってるのを知られたら、痛くもない腹を探られるからだね」

 手に持った丸い玉を軽く数回空中に放り上げ、「じゃ、この人と後の事は頼んだね」そう言い残すと『銀杏婆ちゃん』は風のように姿を消していた。

「今のは……閃光……弾でしょうか……」

 栗原に指示されて賊の後方へ回り込んでいた遠藤が、やって来て漏らした。

「遠藤くん、それは何の事? あれは忍法なのかい?」

「ええ。アニメに出てくる忍者なんかが、ドロンと消える時に使う、アレですよ。マグネシウムを使っています」

「俺なんかちゃんと閉じていたのに、まだ目がチカチカするよ」

 倒れている賊の足首は、一様にロープでぐるぐる巻きにされている。閃光弾で目を眩ませた隙に、舘野さんが目にも止まらぬ早さで縛り上げたのだ。

その内の1人がピョンピョンと跳ねながら脱走を謀った。

「おうっ!」

 遠藤は賊の手首を逆手に取ると、気合いと共に引き下げる。

「わぁぁっ!」

  ドタンッ「ぐえっ!」

 弧を描いて宙を舞った賊は、受け身も取れずに地面へ叩き付けられ、そのまま気を失っていた。


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