ロ包 ロ孝
 遠藤は和瀬田大学の2回生で、少林寺拳法部の副部長を勤める傍ら、古武道や忍術等の研究をしている。

「やはりそれは忍術なんだろうな。我々の宗教で伝えられている秘術とは傾向が違うようだし」

 俺も最近になって、やっと忍術の歴史や家系についての勉強を始めたばかりだから、実際の忍術や忍法についてはまだ明るい方ではない。

 高倉家は元を辿れば高峰という甲賀の血筋を引いている家系だ、というのが解った位だ。

「舘野さんの旧姓はなんておっしゃるんでしょうね?」

「旧姓で何か解るのかい?」

「ええ、ある程度は。私もそこ迄詳しい訳じゃ有りませんが」

 謎は深まるばかりだが、何はともあれ賊は確保した。後は警察に任せる事にしよう。

「海袋エンジェルスの坂口です。はい、そうです。賊を確保しましたのでお車を回して貰えますか? 場所はですね……」

  ウウ〜 ピーポーピーポー ウウ〜

 程無くして、所轄のパトカーがけたたましくサイレンを打ち鳴らしてやって来た。

「ご苦労さまです、後は私共でやりますので。ご協力有り難うございました」

 ロープで縛られた賊共は、次々とパトカーで連行されて行った。舘野さんの都合も有りそうなので、今回は栗原の働きで賊を確保したようにしておいた。

「栗林、すまんがそういう事なんで事情聴取にはお前が行ってくれないか?」

「解りました、いいですよ! これで一件落着ですねっ!」

「舘野さんの事は内密に、お前が片付けた事にしておけ」と念を押して耳打ちすると、理解出来たのか大きく頷いてパトカーに乗り込んだ。

 当の舘野さんは店には戻っていないようだ。ほとぼりが冷める迄どこかに隠れているつもりなのだろう。


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