ロ包 ロ孝
「普通の幸せが欲しかったよな、里美。ただの女で居たかったよな。……それを、それをお前らはぁぁぁっ」

 俺の発した怒声は空気を切り裂き、今まで真っ青に晴れ渡っていた筈の空が、見る間にかき曇った。

戦車隊に向き直ると、いつの間に集まったのか、数多くの歩兵にジープ、ロケットランチャーを搭載した装甲車や新たに加わった対蠢声操躯法パラボラアンテナ装着の主力戦車。

  ギィィィィィイイン……ババババラバラバララァ……

 空には対地ミサイルを装備した戦闘ヘリや対地戦用戦闘機など、機甲師団一個大隊がそこに控えている。

「はっはは。大袈裟な。こっちは冴えない生身のおじさんだぞ? こうなったら、本気を出すしか無いじゃないかぁっ」

 先程からチカチカと眩しいのでふと身体を見下ろすと、自動小銃のレーザービームポインターから発せられる光で、全身が真っ赤に輝いている。

「お前らぁぁ、俺の里美を、子供を返せぇっ! ヌゥォォォォォオオあああ!」

  ビビシビビジシシシィッ ピカビカッ ッズドドドドォォォーン

 俺から発せられる放電に引き寄せられて、何本もの稲妻が一斉に戦場を襲った。

敵の電子機器は軒並み焼き付き、その衝撃波で歩兵達は持っていた武器ごと吹き飛ばされていた。

「コォォォォオオオ」


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