ロ包 ロ孝
 息を吸う俺に向かって風は吹き荒れ、周りに有る木立も俺へ向けてたなびきそして傾(カシ)いでいて、今にも根元から倒れそうになっている。

上空に渦を成した暗雲は、台風の目のように中心がぽっかり開いて、その穴からは真っ青な空が覗いている。

俺は里美をしっかりかかえ直すと、力の限り彼女の名を呼んだ。

「里美ぃぃぃぃぃい!」







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