君を愛す ただ君を……
「…やっぱり、無理。抱かないで」

「なんだよっ!」

越智君が、がくっと肩を落とした

「だって抱かれたら、越智君を絶対に忘れられなくなる。離れられなくなっちゃう」

あたしを抱いている越智君の腕に力が入った

ぎゅうっと強く抱きしめると、越智君のキスが首筋に落ちた

「なら、離れるなよ。俺的には、このまま抱いて、涼宮を俺だけのモノにしたい」

「せっかく決心したのよ?」

「関係ねえよ」

越智君のキスが、どんどんとさがっていく

首、鎖骨、胸、お腹……

「お…越智君っ! 駄目だよ」

「涼宮を離したくないんだ」

越智君の唇がまるで麻酔みたい

キスされるたびに、身体がどんどんとしびれていく

考える力も、抵抗する力も失われていく

カツカツカツと、廊下からヒールの音がすると越智君とあたしの身体がびくっと跳ねた

「本当に誰も見ていないの? 役立たずな人たちねっ」

遠くだけど、はっきりと越智君のお母さんの甲高い声が聞こえた

「ちっ、もうバレたのかよ」

越智君が舌打ちをすると、ベッドから飛び出した

ガラっと窓を開けると、足を持ち上げた

「え? 窓から?」

「廊下に出たら、バレばれだろ」

「危ないよ?」

「俺は来てないって言えよ。母親が寝たら、また来るから」

越智君は身軽にひょいっと窓の外に出ると、近くの木に飛び移った

手足を使ってスルスルと下に降りて行くと、あっという間に越智君の姿は闇に消えていった

凄い…運動神経が良すぎだよ

あたしは窓を閉めると、布団に横になった

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