君を愛す ただ君を……
「なあ、涼宮。一緒に住まない?」

頭上から聞こえてくる越智君の甘い声の響きに、あたしは目を丸くした

「え? 今、なんて?」

あたしは視線を上にして、越智君の横顔を見つめた

「一緒に住もう」

「あ…っと。越智君、それはちょっと…」

「駄目?」

「駄目っていうか…あたしたち、まだ再会して1日も経ってないんだよ? 早すぎない?」

「一緒に住むのに、早いとか遅いとかってないと思う」

「いや…まあ、そうかもしれないけど。お互いのことを知らないし…」

越智君って、相変わらずだ

根っこの部分は高校生の頃と全然変わってない気がする

「それに、あたしは……越智君のお母さんに……」

「平気だよ」

13階に到着したエレベータの扉が開いた

越智君に肩を抱かれたまま、あたしはエレベータを降りる

「平気って?」

「もう居ないから」

あたしは眉に皺を寄せた

居ないってどういうこと?

「離婚したんだ。うちの両親。母親は、妹を連れて実家に帰ったよ。あの家にはもう父親しか居ないんだ…って、恋人はいるみたいだけどね」

越智君はカードキーで、ドアのロックを外すと、分厚い玄関のドアをひいた

「どうぞ」

越智君が開けてくれた家の中に、あたしは足を踏み入れた

「お邪魔しまーす」

あたしはぺこぺこと頭をさげながら、玄関に入った

新築の香りが鼻をくすぐった

玄関のサーチライトがぱっと明るく足元照らしてくれた

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