君を愛す ただ君を……
「ねえ、越智君…離婚したって……」

いつなの?って聞こうと振り返ったところで、あたしは越智君に唇を奪われた

パタンと静かに玄関のドアが閉まると、越智君がぎゅうっと力強く抱きしめてきた

身体の芯から、ゾクゾクっという感覚に襲われる

越智君の舌が口の中に侵入して、あたしを掻き回してくる

越智君の手が動いて、あたしのコートのボタンを外し始めた

「ちょ…越智君、待って」

「どうして?」

越智君の熱い息が、あたしの耳にかかる

それだけで、あたしの頬に熱をもった

「だって、話をするだけ…だって」

「『話をしよう』とは言ったけど、『話をするだけ』とは言ってないよ。それにここまで来て…ナシっていうのはちょっと意地悪すぎるだろ」

越智君が靴も脱がずに、またあたしを抱き寄せると熱いキスをした

脳内がチョコレートのように甘く溶けていくのを、あたしは感じた

駄目…これ以上は、いけない

心ではそう思っているのに、身体が越智君を求めてしまう

玄関に二人で倒れこむと、越智君がスーツの上着を脱ぎ捨てた

「越智君、駄目だよ!」

「なんで? 生理とか?」

あたしはコートの襟をぎゅっと掴むと、セーターが見えないように隠した

「いや…違うけど。そうじゃなくて、その…。越智君と再会するなんて思ってなかったから…だから」

あたしはぼそぼそと小さな声で言い訳をする

越智君は黒い髪を掻きあげると、ふっと笑みをこぼした

「勝負下着じゃないってこと?」

「違うっ!」

「じゃあ、何?」

「服が…その…」

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