君を愛す ただ君を……
越智君への恋心に気づいたのは、高校1年の冬だった

1年のとき、あたしは越智君と同じクラスで、しぃちゃんとは別だった

実を言うと、入学してすぐのころに、越智君に告白された

一目ぼれだと言われたけど、あたしは越智君を知らなかったから、「付き合って欲しい」というお話を断っていた

それから少しずつ越智君のことを気にするようになって、「好きかも」と思ったときには、もう越智君には彼女がいた

笹原 静……しいちゃんが、越智君の隣で腕を組んで笑っていたんだ

だから、あたしの気持ちは誰にも言っていない

今さら、言葉にしたところで、2人を困らせるだけだから

今の3人の関係を壊したくない

この居心地の良い関係を続けていたいよ

あたしの命が続く限り…この気持ちはずっと心の中におさめておくつもり

高校2年になって、あたしはしぃちゃんと同じクラスになり、越智君が別のクラスになった

専攻している教科が変わったから

あたしとしぃちゃんは文系で、越智君が理数系

越智君は頭が良くて、運動神経も良い

部活には入ってないけど、1年生の頃は運動部の人たちからの勧誘が酷かったね

「陽菜、帰るよ?」

いつの間にか、教室のドアに向かって歩いているしぃちゃんが振り返ってあたしに声をかけてくれた

「あ…ごめっ」

ぼけーっとしていたあたしは、慌てて鞄を掴むと、小走りでドアに向かう

ズキっ

胸の奥に針で刺されたような痛みが走り、あたしは胸を押さえて足をとめた

いたっ…

「涼宮? どうした?」

越智君も振り返って、不思議そうな顔をする

あたしは笑顔を作ると、首を振った

「何でもない。ちょっと、机に足をぶつけただけ」

あたしは深呼吸をすると、ゆっくりと歩き出す

大丈夫…痛くない、痛くないよね

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